平成24年度冷凍2種(学識過去問題)と上級冷凍受験テキスト解説

平成24年度冷凍2種過去問題と上級冷凍受験テキスト解説その3
こんにちは!まるです。

学識は公式を覚えれば簡単に解けますので、計算問題を載せていません。

平成24年度冷凍2種学識過去問題と上級冷凍受験テキスト解説

学識試験問題3~10問

問3 次のイ、ロ、ハ、二の記述のうち、圧縮機について正しいものはどれか

イ 単段往復圧縮機では、潤滑油が吸込み側の低圧部分にあり、始動時や液戻り時にオイルフォーミングを発生しやすい

ロ 多気筒圧縮機に取り付けられている容量制御装置(アンローダ)は、圧縮機始動時の負荷軽減装置としても使用される

ハ 1台の圧縮機で二段圧縮を行うコンパウンド圧縮機では、高段用と低段用の気筒数を切り換えることにより、中間圧力を最適に制御する

二 回転ピストン式ロータリー圧縮機の電動機は吐出しガスによって冷却され、ヒートポンプエアコンディショナの暖房運転時には、電動機の発生熱も有効に利用できる

1 イ、ロ 2 イ、ハ 3 ハ、二 4 イ、ロ、二 5 ロ、ハ、二











解説

イ 〇 単段往復圧縮機では、潤滑油が吸込み側の低圧部分にあり、始動時や液戻り時にオイルフォーミングを発生しやすい

ちなみにロータリー圧縮機は、潤滑油が吸込み側の高圧部分にあるので、オイルフォーミングが発生しないが、液圧縮に弱いので液分離器(アキュームレータ)が必要

ロ 〇 多気筒圧縮機に取り付けられている容量制御装置(アンローダ)は、圧縮機始動時の負荷軽減装置としても使用される 暗記しましょう

ハ ✕ 1台の圧縮機で二段圧縮を行うコンパウンド圧縮機では、高段用と低段用のピストン押しのけ量の比が固定されているので、中間圧力が最適値から若干ずれるが配管などを簡略化できるので効率が良い

二 〇 回転ピストン式ロータリー圧縮機の電動機は吐出しガスによって冷却され、ヒートポンプエアコンディショナの暖房運転時には、電動機の発生熱も有効に利用できる

圧縮機の電動機は吐出しガスよりも高い温度になっている

正解 4

まずハが✕で簡単なので消去法で1、4の2択に絞れます
その後は二が〇で簡単なので4



問4 次のイ、ロ、ハ、二の記述のうち、伝熱について正しいものはどれか

イ 固体内を通して熱エネルギーが伝わる移動現象は熱伝導と呼ばれる

ロ 流動している流体と固体壁面との間に温度差がある場合の熱移動現象は、凝縮熱伝達と沸騰熱伝達に分けられる

ハ 固体壁を介して一方の流体から他方の流体へ熱が伝わる熱通過量は、流体間の温度差、伝熱面積および両壁面における熱伝達率の積で求められる

二 フィン効率は、フィンの全表面がフィン根元温度に等しいと仮定したときの、フィン部の伝熱量に対する実際のフィンの伝熱量の比である

1 イ、ロ 2 イ、ハ 3 イ、二 4 ロ、ハ 5 ロ、二









解説

イ 〇 固体内を通して熱エネルギーが伝わる移動現象は熱伝導と呼ばれる 暗記しましょう

ロ ✕ 流動している流体と固体壁面との間に温度差がある場合の熱移動現象は、対流熱伝達と呼ばれる。流動方式により強制対流熱伝達と自然対流熱伝達の2つに分けられる。

相変化を伴う熱移動現象を凝縮熱伝達と沸騰熱伝達という

ハ ✕  固体壁を介して一方の流体から他方の流体へ熱が伝わる熱通過量は、流体間の温度差、伝熱面積、熱通過率の積で求められる

熱通過量=熱通過率K×伝熱面積A×温度差△t

二 〇 フィン効率は、フィンの全表面がフィン根元温度に等しいと仮定したときの、フィン部の伝熱量に対する実際のフィンの伝熱量の比である 暗記しましょう

正解 3

ロ、ハが✕で簡単なので消去法で3



問5 次のイ、ロ、ハ、二の記述のうち、凝縮器について正しいものはどれか

イ 水冷凝縮器は冷却水の蒸発潜熱を利用して冷媒蒸気を凝縮する

ロ 蒸発式凝縮器の冷却管内を流れる冷媒蒸気は、冷却管外面に散布される冷却水に熱を与えてその一部を蒸発させ、主にその蒸発潜熱により凝縮する

ハ 空冷凝縮器の凝縮熱量の計算に用いる温度差として、実用的には冷媒と空気の算術平均温度差を、対数平均温度差の代わりに用いることができる

二 空冷凝縮器では、空気側の熱伝達率が小さいので冷却管の総長が長くなり、冷媒の圧力降下が大きくなるが、これを避けるために、総館長を分割して冷却管を並列に接続することがある

1 イ、ロ 2 イ、ハ 3 ハ、二 4 イ、ロ、二 5 ロ、ハ、二









解説

イ ✕ 水冷凝縮器は冷却水の顕熱を利用して冷媒蒸気を凝縮する

蒸発潜熱を利用しているのは蒸発式凝縮器です

ロ 〇 蒸発式凝縮器の冷却管内を流れる冷媒蒸気は、冷却管外面に散布される冷却水に熱を与えてその一部を蒸発させ、主にその蒸発潜熱により凝縮する 暗記しましょう

ハ 〇 空冷凝縮器の凝縮熱量の計算に用いる温度差として、実用的には冷媒と空気の算術平均温度差を、対数平均温度差の代わりに用いることができる

より正確に求める場合は対数平均温度差を使う

二 〇 空冷凝縮器では、空気側の熱伝達率が小さいので冷却管の総長が長くなり、冷媒の圧力降下が大きくなるが、これを避けるために、総館長を分割して冷却管を並列に接続することがある

熱伝達率=水>冷媒>空気の順に小さくなる

正解 5

イが✕で簡単なので消去法で3、5の2択
その後はロが〇で簡単なので5



問6 次のイ、ロ、ハ、二の記述のうち、蒸発器について正しいものはどれか

イ 散水方式による除霜方法は、送風機を運転しながら蒸発器上部から散水する方式である。このため、蒸発器内に冷媒液が多量に残っていると散水中に冷却管内の冷媒が蒸発し、急激な圧力上昇を生じやすい

ロ 自然対流冷却器では、空気などの被冷却物が温度変化による密度の差により伝熱面を流れるので、その熱伝達率は強制対流冷却器に比べて小さい。自然対流冷却器として裸管コイル冷却器、天井吊りフィンコイル冷却器などがある

ハ 冷媒液強制循環式蒸発器は、蒸発器内で蒸発する冷媒液量とほぼ同じ冷媒液量を、液ポンプで強制的に冷却管内に送り込む方法である。また冷凍機油が冷却管内に溜まりにくいため、冷凍機油による熱伝達の阻害もほとんどない

二 満液式蒸発器は、一般に冷却管内を水やブラインが流れ、冷媒は胴体の下部から供給される。この方式の特徴は、蒸発器内の冷媒が核沸騰熱伝達で蒸発するために、乾式蒸発器に比べて伝熱性能がよく、圧力降下も小さい

1 イ、ロ 2 イ、ハ 3 ロ、ハ 4 ロ、二 5 ハ、二










解説

イ ✕ 散水方式による除霜方法は、送風機を停止して、蒸発器上部から(10~25℃のお湯)散水する方式である。このため、蒸発器内に冷媒液が多量に残っていると散水中に冷却管内の冷媒が蒸発し、急激な圧力上昇を生じやすい

送風機を運転しながらはオフサイクル方式のみ

ロ 〇 自然対流冷却器(大形)では、空気などの被冷却物が温度変化による密度の差により伝熱面を流れるので、その熱伝達率は強制対流冷却器に比べて小さい。自然対流冷却器として裸管コイル冷却器、天井吊りフィンコイル冷却器などがある

強制対流冷却器(小形)は、管棚コイル冷却器、ユニットクーラー(冷凍・冷蔵)、空調用空気冷却器など

ハ ✕ 冷媒液強制循環式蒸発器は、蒸発器内で蒸発する冷媒液量の3~5倍の冷媒液量を、液ポンプで強制的に冷却管内に送り込む方法である。また冷凍機油が冷却管内に溜まりにくいため、冷凍機油による熱伝達の阻害もほとんどない

二 〇 満液式蒸発器は、一般に冷却管内を水やブラインが流れ、冷媒は胴体の下部から供給される。この方式の特徴は、蒸発器内の冷媒が核沸騰熱伝達で蒸発するために、乾式蒸発器に比べて伝熱性能がよく、圧力降下も小さい

正解 4

イ、ハが✕で簡単なので消去法で4



問7 次のイ、ロ、ハ、二の記述のうち、熱交換器について正しいものはどれか

イ 蒸発器における冷媒蒸発温度と被冷却媒体(水、ブライン、空気など)との温度差が大きくなるほど、冷凍装置の冷凍能力が増大し、成績係数は大きくなる

ロ 水冷凝縮器内に不凝縮ガスが存在すると、不凝縮ガスの分圧相当分以上に凝縮圧力がより高くなる

ハ 温度自動膨張弁を使用するフィンコイル冷却器またはユニットクーラでは、空気を蒸発器の冷媒入口側から吹き込む並流方式とするほうが、向流方式とするよりも冷媒の過熱部の管長を短くできる

二 運転中の冷凍装置において、蒸発温度が高くなると、圧縮機吸込み蒸気の比体積が小さくなり、蒸発器出入口間の比エンタルピー差と圧縮機の体積効率はともに大きくなる

1 イ、ロ 2 イ、ハ 3 ロ、ハ 4 ロ、二 5 ハ、二









解説

イ ✕ 蒸発器における冷媒蒸発温度と被冷却媒体(水、ブライン、空気など)との温度差が大きくなると、蒸発圧力が下がるので、冷凍装置の冷凍能力が減少し、成績係数が低下する

ロ 〇 水冷凝縮器内に不凝縮ガスが存在すると、不凝縮ガスの分圧相当分以上に凝縮圧力がより高くなる

運転中は不凝縮ガスの分圧相当分以上に、凝縮圧力がより高くなる

停止中は不凝縮ガスの分圧相当分だけ、凝縮圧力がより高くなる

ハ ✕ 温度自動膨張弁を使用するフィンコイル冷却器またはユニットクーラでは、空気を蒸発器の冷媒出口側から吹き込む向流方式とするほうが、並流方式とするよりも冷媒の過熱部の管長を短くできる

蒸発器の冷媒入口側から吹き込む並流方式=過熱部の管長が長くなる

蒸発器の冷媒出口側から吹き込む向流方式=過熱部の管長を短くできる

二 〇 運転中の冷凍装置において、蒸発温度が高くなると、圧縮機吸込み蒸気の比体積が小さくなり、蒸発器出入口間の比エンタルピー差と圧縮機の体積効率はともに大きくなる 暗記しましょう

正解 4

イ、ハが✕で簡単なので消去法で4



問8 次のイ、ロ、ハ、二の記述のうち、自動制御機器について正しいものはどれか

イ キャピラリーチューブは、膨張弁と同じように高圧冷媒液を蒸発器へ絞り膨張させる絞り機構の一種である。凝縮器の圧力と過冷却度の状態によって流量が大きく変わるが、キャピラリーチューブ内で冷媒の流れが臨界状態に到達した場合には蒸発器の圧力の影響は受けない

ロ ホットガスデフロストを行うヒートポンプ冷凍装置に使用する温度自動膨張弁では、感温筒温度が過度に上昇してもダイヤフラムを破壊することがないように、感温筒はガスチャージ方式を採用する

ハ 圧縮機の吸込み圧力が高くなると、電動機が過負荷になるため、圧縮機の吸込み管に吸入圧力調整弁(SPR)を取り付けて、その調整弁の入口圧力を所定圧力以上にならないように制御する

二 定圧自動膨張弁は、弁入口側の冷媒圧力の影響をほとんど受けないで絞り膨張し、作動圧力調整用ネジで設定した一定の蒸発器内圧力に制御をするので、複数の蒸発器を備えた冷凍装置でも適切に使用できる

1 イ、ロ 2 イ、ハ 3 ロ、ハ 4 ロ、二 5 ハ、二









解説

イ 〇 キャピラリーチューブは、膨張弁と同じように高圧冷媒液を蒸発器へ絞り膨張させる絞り機構の一種である。凝縮器の圧力と過冷却度の状態によって流量が大きく変わるが、キャピラリーチューブ内で冷媒の流れが臨界状態に到達した場合には蒸発器の圧力の影響は受けない

臨界状態に到達した場合には蒸発器の圧力の影響は受けない

臨界状態に到達しない場合には蒸発器の圧力の影響を受ける

ロ 〇 ホットガスデフロストを行うヒートポンプ冷凍装置に使用する温度自動膨張弁では、感温筒温度が過度に上昇してもダイヤフラムを破壊することがないように、感温筒はガスチャージ方式を採用する

ガスチャージ方式=高温になってもダイヤフラムを破壊しない

液チャージ方式=高温になるとダイヤフラムを破壊する

ハ ✕ 圧縮機の吸込み圧力が高くなると、電動機が過負荷になるため、圧縮機の吸込み管に吸入圧力調整弁(SPR)を取り付けて、その調整弁の出口圧力を所定圧力以上にならないように制御する

二 ✕ 定圧自動膨張弁(小型・応答速い)は、弁入口側の冷媒圧力の影響をほとんど受けないで絞り膨張し、作動圧力調整用ネジで設定した一定の蒸発器内圧力に制御をするが、複数の蒸発器を備えた冷凍装置では使用できない

複数の蒸発器を備えた冷凍装置で使用できるのは、蒸発圧力調整弁

正解 1

ハ、二が✕で簡単なので消去法で1



問9 次のイ、ロ、ハ、二の記述のうち、冷媒、冷凍機油およびブラインについて正しいものはどれか

イ 非共沸混合冷媒R407Cは、一定圧力下で蒸発を始める温度(沸点)と蒸発終了の温度(露点)とに違いがあり、沸点よりも露点のほうが低い

ロ 一般に、標準沸点が低い冷媒ほど理論成績係数は低下する。これは標準沸点が低ければ、それに応じて臨界温度が高くなり、冷媒液の蒸発潜熱が小さくなり、冷凍効果が減少するためである

ハ 一般にアンモニア液の比重は冷凍機油の比重よりも小さいが、フルオロカーボン冷媒液の比重は冷凍機油の比重よりも大きい

二 塩化カルシウムブラインは、空気と接触すると空気中の酸素を溶かし込んで金属腐食を促進したり、空気中の水分を取り込んで濃度が低下することがある

1 イ、ロ 2 イ、ハ 3 イ、二 4 ロ、ハ 5 ハ、二











解説

イ ✕ 非共沸混合冷媒R407Cは、一定圧力下で蒸発を始める温度(沸点)と蒸発終了の温度(露点)とに違いがあり、沸点よりも露点のほうが高い

ちなみにR404AやR410Aのような沸点と露点の差が0、2~0、3と小さい非共沸混合冷媒は疑似共沸混合冷媒と言う

ロ ✕ 一般に、標準沸点が低い冷媒ほど理論成績係数は低下する。これは標準沸点が低ければ、それに応じて臨界温度が低くなり、冷媒液の蒸発潜熱が小さくなり、冷凍効果が減少するためである

ハ 〇 一般にアンモニア液の比重は冷凍機油の比重よりも小さいが、フルオロカーボン冷媒液の比重は冷凍機油の比重よりも大きい

フルオロカーボン冷媒液>冷凍機油>アンモニア冷媒液の順に比重が小さくなる

二 〇 塩化カルシウムブラインは、空気と接触すると空気中の酸素を溶かし込んで金属腐食を促進したり、空気中の水分を取り込んで濃度が低下することがある 暗記しましょう

正解 5

イが✕で簡単なので消去法で4、5の2択に絞れます
その後は二が〇で簡単なので5



問10 次のイ、ロ、ハ、二の記述のうち、圧力容器の強度、材料について正しいものはどれか

イ 突合せ両側溶接継手の効率ηの数値は、溶接部の全長に対する放射線透過試験を行った部分の長さの割合によって決められている

ロ 実際の必要厚さは、最小厚さに腐れしろを加えるが、冷凍装置ではステンレス鋼の腐れしろは0mmである

ハ 溶接構造用圧延鋼材SM400Bの許容引張応力αは100N/mm²である

二 既存の圧力容器の円筒銅板の厚さがわかっているとき、その圧力容器の使用可能な最高圧力を求める式は、最小厚さを求める式に腐れしろを加えた式から導くことができる

1 イ 2 ロ 3 イ、二 4 ロ、ハ 5 イ、ハ、二











解説

イ 〇 突合せ両側溶接継手の効率ηの数値は、溶接部の全長に対する放射線透過試験を行った部分の長さの割合によって決められている 

ちなみに法定冷凍能力20トン以上の冷媒設備の圧力容器の突合せ溶接部には、機械試験(5つ)と非破壊試験が規定されている

ロ ✕ 実際の必要厚さは、最小厚さに腐れしろを加えるが、冷凍装置ではステンレス鋼の腐れしろは0、2mmである

圧力容器に使用する鋼材の腐れしろは、材質、使用条件によって異なる

鋳鉄、鋼は1、0mm 

銅、合銅金、ステンレス、アルミ二ウムは0、2mm

ハ 〇 溶接構造用圧延鋼材SM400Bの許容引張応力αは100N/mm²である

許容引張応力=最小引張強さ×1/4

二 〇 既存の圧力容器の円筒銅板の厚さがわかっているとき、その圧力容器の使用可能な最高圧力を求める式は、最小厚さを求める式に腐れしろを加えた式から導くことができる

圧力容器の実際の板厚計算=最小厚さに腐れしろを加えて、板厚計算をする

許容圧力を計算するとき=腐れしろを除いて板厚計算をする

正解 5

ロが✕で簡単なので消去法で1、3、5の3択に絞れます
その後はハが〇で簡単なので5

続きはこちら25年度学識試験問題3~10問

まとめ

平成24年度の問題は保安・学識とも上級冷凍受験テキストを見なくても解ける問題が多いので簡単な年です。

年々難しくなっていく冷凍2種試験ですので、気をぬかずに頑張りましょう!

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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